キャリアスケープが見えているか、見えづらいか、その違いを「組織にとって」「個人にとって」の両面からまとめると、次のようになります。
キャリアスケープが見える組織 | キャリアスケープが見えない組織 | |
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組織にとって | ①経営理念を実現するための方法論を常に考えておく必要があるが、それは組織のメンバーに示され、共有されている ②その方法論を実現するためにどのような役割が必要かが分かっている ③従って余剰な人員を抱えることがなく、育成中の人材もいつまでにどのように育てていくかのめどを持っている ④ポイントをついた教育、ローテーションが可能 ⑤社員が現在の役割の位置付け、目的を経営戦略との関連で理解できている ⑥社員は今後の自分のキャリア・プランを持っているので、自己啓発には熱心である | ①当面の経営計画は立てられているが、いつまでのどのような役割が必要か、またそのためにどれほどの人材を確保すればよいかは行き当たりばったり ②従って、使えそうな人材はとりあえず採用するということになり、余剰な人員を抱えやすい ③管理職は自分の部門の業績を維持向上するために人員を確保しようとし、個人はとりあえず居心地の良いところに異動したいと考えなど、ローテーションは思いつきになりがち |
個人にとって | ①この組織はどのような理念を持ち、どのように発展しようとしているかを理解している。 ②それを実現するためにどのような役割が組織内にあるか、そしてその使命、目的は何かを理解している。 ③それらを前提に自分のキャリアゴールを設定している。 ④そのゴールが自分にとって魅力的かどうか、自分の取り組みによって選択できるかどうかが分かる。 ⑤役割を通して組織内での自分の位置付けを確認できる。 ⑥それを元に、今後のキャリア開発プランを自ら設定できる ⑦仮に意にそぐわない役割であっても、自己のキャリア開発の一環として、また当面のこととして受け入れられる | ①何をやらされるかは組織次第 ②従って、自己育成といっても何をすればよいか分からず、、結局は組織に対して責任を求めざるを得ない ②自己選択をするようにいわれても何の情報もないので決められない |