カリキュラムの目的
1)キャリアとはなにか、キャリア開発とは何かについて、これまで発表されている主要な理論について理解し、その基本的な考え方を説明できるようにする。
2)個人や組織がキャリア開発に取り組む理由とその考え方を理解する。
3)1、2を前提に、ここで得た知見を援用して、今後、自分自身のキャリア開発の方向性を、置かれた状況を考慮して適宜、再構成することができるようにする。
※短大の授業といっても社会人学生を対象(夜間、土日が主体のコース)としていたので、理論の説明だけでなく、学生自身のこれまでの経験をそれを通して再解釈してみたり、またその結果を用いてこれからのキャリアを考えてみることを目的としました
カリキュラムの特徴
上記の目的を達成するために、理論の説明に先だって、それに関係するワークシートを事前課題として配布、自身の経験を検討することとしました。これにより、理論を自分の経験に引き寄せて理解することができるものと考えます。
さらに、理論を説明した後、グループワークを実施します。グループワークといっても何らかの課題を解決するためのものではなく、事前課題について共有するためのもので、基本的には学生同士の語り合いの時間といえます。
社会人学生はいろいろな職業経験を持っています。それを聞かせてもらうだけでも、知見が広がります。当たり前と思っていたことも、他の人の話を聞くと決して当たり前ではないという当然のことに気づくことができます。しかも、これが学生の枠組みを広げることに寄与します。
また、事前課題を作成するだけでも、自分自身の経験や知識の棚卸となるのですが、話すことでもう一段それらを深めることができます。人に分かるように説明しようとすると、少し客観的に捉えようとすることも寄与しているのでしょう。
さらに話すだけでなく、必ず他の人からフィードバックをもらうようにしています。フィードバックをもらうことで、他の観点から自分のことを見つめ直すことができるからです。フィードバックする方の真剣味も違います。
具体的なカリキュラム
回 | テーマ | 概要 |
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第1回 | ガイダンス 「キャリア」「キャリア開発」を捉える視点 | ・この講座の進め方 ・「キャリア」、「キャリア開発」とは何か |
第2回 | 働くということとキャリア | ・働くということはどういうことか(労働観の変遷) ・「働くこと」と「職業」、「働き方」 |
第3回 | キャリア開発の理論(1) キャリア開発の黎明と職業指導 | ・職業指導の始まり ・職業相談の基本的なプロセス |
第4回 | キャリア開発の理論(2) 構造論 | ・構造論的なアプローチでみるキャリア開発 |
第5回 | キャリア開発の理論(3) 社会的学習理論① | ・社会的学習とは何か ・社会的学習理論からみたキャリア開発(その1) |
第6回 | キャリア開発の理論(4) 社会的学習理論② | ・社会的学習理論からみたキャリア開発(その2) |
第7回 | キャリア開発の理論(5) 発達理論① | ・「発達心理学」の考え方 ・キャリア発達論から見たキャリア開発 |
第8回 | キャリア開発の理論(6) 発達理論② | ・青年期、中年期におけるキャリア上の課題について ・女性のキャリア上の課題について |
第9回 | キャリア開発の理論(7) 意思決定理論 | ・意志決定理論の考え方 ・キャリア開発における意志決定理論 |
第10回 | キャリア開発の理論(8) 「語り」とキャリア開発 | ・社会構成主義とナラティブアプローチ |
第11回 | 職務満足とワーク・モチベーション | ・職務満足、モティベーションとは何か ・モティベーションとキャリアの関わり |
第12回 | 組織におけるキャリア開発の意味と人事システム | ・人材マネジメントから見たキャリア開発 ・個人と組織の新しい共生関係 |
第13回 | キャリア開発と人的支援 | ・キャリアカウンセリングとはなにか ・メンタリングとはなにか |
第14回 | 個人のキャリア開発を取り巻く環境 | ・ここまでの学習の振り返りと、自分にとっての課題、社会、組織、学校、家庭での課題を整理する |
第15回 | 試験 | ・理解度の確認と理論の応用 |