キャリアとは何かを考える
 会社の仕事だけが仕事ではない
狭義の仕事、広義の仕事

 ところで、キャリアを仕事人生(Working Life)ととらえるとき、その仕事の意味も確認しておく必要があります。

 仕事というと会社の仕事をイメージしがちですが、ここ(Working Life)でいう仕事はもっと広い意味を指しています。
 敢えて区分するなら、会社での仕事は「狭義の仕事」であり、表現するとすれば「Job(ジョブ)」であり、報酬を伴う仕事(Paid Work)です。
 これはこれで大切な仕事なのです。しかし、「集団/組織のなかで引き受ける一定の役割責任」のように仕事を定義することもできます。
 たとえばPTAや、町内会などで役員をするということがあります。これらも仕事いってよいでしょう。子供たちの野外活動やスポーツ・チームの指導、あるいは社会人勉強会の事務局‥‥こうしたものは、その名前の通り自発的なボランティアなのですが、では適当にやっていいかというとそうではなく、やはり「頼まれたんだから、行くといったんだからちゃんと行かなきゃ」と思いますし、子供たちがけがをしたり熱中症になったりしないように気配りもします。
 責任があるからというだけでなく、そこに自分なりに意志を持って関わっている、コミットメントを持っているという意味で仕事といって良いでしょう。
 会社の仕事という狭義の仕事に、これらの活動(Activity、Movement)を含めれば、広義の仕事もあるといえます。会社の仕事を「Job」(ジョブ)と呼ぶとすれば、広義の仕事は「Work」(ワーク)と呼べるでしょう。

二つのバランス
 われわれは主に狭義の仕事から報酬を得ています。生きて行くには糧が必要ですから、その意味で狭義の仕事Jobは重要です。
 しかし、生きがい、働きがいという観点に立つと、これとはまた違った結果となるでしょう。生活の糧を得るという意味でJobは重要視しなければならないが、自分が本当に意味を感じている仕事はWorkの中にある−という人もいるという当たり前の事実がよく見えてきます。
 先に全人生の中における仕事人生のウエートは一人一人違うし、一人一人が考えるものと説明しましたが、仕事人生における仕事の内容、広い意味での仕事に占めるJobのウエートをどうしたいかも人によって異なりますし、人生の時期によっても異なって来ることになります。
 その意味ではキャリアを考えるとは全人生における仕事人生の中身とウエート、そして仕事における狭義の仕事の中身とウエートを考えるということになります。

 個人のキャリア形成を支援しようとすれば、どのような職務経験を得て、どんな知識、スキルを獲得するかに留まらず、長い目、広い視野で捉える必要があります。当然、会社の中だけのことでは収まりませんし、何か一定のパターンをつくればそれで万事解決とはいきません。
 なぜなら2つのバランスは一人ひとり異なっているからです。

 狭義の仕事には終わりがある
 もう一つ留意しておきたいのは、少なくとも会社の仕事には「定年」という名の終わりが訪れるということです。定年延長や再雇用制度などの充実が進んでいますが、いずれにしても自分だけで決めることはできないものです。
 一方、広義の仕事のなかに含まれるものは、もともと自分で決めてはじめたものが多いですから、終わりの時期も自分で決めることになります。さらにいえば、何歳になってもはじめられるものでもあります。

  
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