キャリアスケープの効果1
効果2 自己決定・自己責任の主体的なキャリア開発
経営理念経営戦略とキャリアスケープ
 キャリアスケープを示すためには、当然、組織の中長期の経営戦略が必要になってきます。
 経営戦略がなければ、今後どの事業領域にシフトするのか、あるいはまたリストラクチャリング(事業再構築)を行うのか、その際、どんな役割が必要なのかを想定することができないからです。
 それが分からなければメンバーは自分のキャリアを考える上での手がかりがないままに考えなければなりません。
 つまり、キャリアスケープを示すということは、経営戦略そのものを構築することに他ならないのです。

 しかし、これほど環境の変化が激しく、先が読みづらい時代に、どこまで「確実な」経営戦略を立案することが出来るでしょうか? 責任あるキャリアスケープを示すことが出来るでしょうか?
 これは、とても難しいといわざるを得ません。では、キャリアスケープを明らかにすること自体が無理なのでしょうか?

 これは、全く逆です。先のことが分からないからこそ、キャリアスケープを示さなければならないのです。
 その上で、そうしたキャリアスケープを、その根拠となる経営戦略を、どのような価値観の元に構築したのかも併せて説明する必要があるのです。

 社員にそこまで説明する必要があるのでしょうか? 
 これまで、そうしたことは経営層だけが知っていればよしとし、、社員には示してこなかった組織がほとんどです。拠らしむべし、知らしむべからずといったところでしょう。
 知らなくても良い、言われたとおりにやればよいのだ。変に知らせると異動などがやりにくくなってしまう−というのが、その根拠でしょう。
 しかし、先に述べたように、将来が分からないからこそ、社員の将来まで責任をとれなくなっているのではないでしょうか?
 さらに、拠らしむべし−どころか、「いや、頼ってもらっても困る。自分のことは自分たちでも考えてほしい」というのが実情なのです。
 考えろと言うのであれば、勘柄れるだけの情報を提供出来ていなければフェアではありません。
 だからこそ、キャリアスケープを根拠とともに示すのです。
 根拠となる前提が変われば、当然キャリアスケープの中身も変わり得ます。そのことについても組織と個人の間で了解し合っておく必要があるのです。
 そうして初めて、個人は主体的なキャリア開発に、自己決定・自己責任で取り組むことが出来るようになるのです。

複数のキャリアゴール、キャリアパス
 キャリアスケープが示されると、個人は将来を見据えて、現在の仕事の経営戦略上の位置づけを読みとりながら、自分の能力や適性を考慮しながら、自分なりの将来像を描くことが出来ます。
 これまでのように、自分の将来を語るのに「職制」「肩書き」「ポスト名」しかないということはなく、いろんな役割名が示されているはずです。それをうまく組み合わせていくわけです
 仮に今の役割・仕事が、意にそぐわなかったり、将来のイメージに結びつかなかったりしても、組織全体を俯瞰したり、将来を見据えて時間的な広がりを持って見渡したりすることで、当面の不満もなにがしかの経験と割り切って、将来に備えた自己啓発に落ち着いてつとめることが出来るようになります。

 当然、リスク・ヘッジを考えることも必要です。将来像を一つに絞り込むのではなく、 2nd Best、3rd Bestを考えたりすることが出来ます。
 Best Goalに至る道筋も、一つとは限りません。富士山に登る方法がいくつもあるように、いろいろな方法を、自分で考えます。「役割」の分布がキャリアスケープとして示されているからこそ出来ることなのです。


効果2のまとめ
 キャリアスケープを示すには、中長期の経営戦略を出来るだけ明確にし、社員に示すことが必要になるが、これは社員が自己決定・自己責任で自分のキャリア・ゴールを考えていくためには必要なこと。
 これまでは、ここを曖昧にしておいて組織優先の人事を行う代わりに、定年までの雇用を約束していた。しかし、環境変化の激しさは、経営戦略を策定する難しさ以上に、単に人数としての人材を抱え続けることの方が難しいということを露呈させた。
 きちんとキャリアスケープを示し、情報を開示し、本人にキャリア・ゴール、キャリア・パスを考えさせるのは、個人にとっても組織にとっても理想的といえる。
 また示したキャリアスケープは当然、変わることがあるというのが前提。

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