Back  <<
攻撃は最大の防御(#21)
面接いろいろ(その1)(#22)
2004/9/1
>>  Next
面接いろいろ(その2)(#23)

 さて、9月に入りました。
 4月から事業年度始まっているところは上半期の最終月ですね。
 気の利いた人事部門ならそろそろ上半期の人事考課表の準備をしている頃ではないでしょうか?
 管理職の方は人事考課の準備を始めていますか? まだまだ? う〜ん、大丈夫?

 さて、人事考課にあわせて面接を行うところも多いですね。
 ところで、この面接。
 カウンセラーの方であれば面接と聞くとカウンセリング場面を想像されると思います。
 「我が社は面接制度を採用しているから」ときいて、「そうか、部下と上司の間で面接をしているんだ、進んだ会社だなぁ」と思われる方――は、そんなにはいらっしゃらないとは思いますが、もしそのように受け取ったとしたら、それは勘違いかもしれません。
 面接といっても、組織内で行われる面接にはいろいろあります。
 また残念ながら、面接とは名ばかりで、上司が一方的に話して終わりということもありますし、制度はあるものの実は実施されていないというところもあります。
 そこで組織で行われる「面接」のいろいろをご紹介してみましょう。
 今回はその第一弾、人事考課を実施の頃に行われる「面接」について。
 なお、組織によって、いろいろな呼び方をしているので、ここでは代表的な名称(というより名が体を表しているような名称)を使わせていただきます。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ★ フィードバック面接
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「面接をしている」という会社が指している面接で最も多いのが、このフィードバック面接ではないかと思います。
 名前の通りフィードバックを目的とした面接です。
 何のフィードバックをするかというと、多くは人事考課の「結果」です。
 結果といっても「S」だとか「A」だとかという最終結果だけではなくて、どこがよくてどこがよくなかったのかということを具体的に伝えて、それを翌期の改善課題にしてもらおうというのが本来の趣旨です。

 なぜこのようなことをするかと言えば、社員にすれば人事考課の善し悪しも気にかかるところですが、具体的に言ってもらわないと実感がもてないからです。
 「いや今期、頑張ってくれたねぇ」といわれても、ふつう、人事考課の対象期間は半年間ありますから、その中で何が、どこらへんが頑張ったのかを言ってくれないと、じゃぁもっと一生懸命やってみようと思っても、どこに力を入れてよいかが分からないわけです。
 逆の場合も同様です。
 日本の人事考課項目の中では、「積極性」や「協調性」という情意考課項目や、「企画力」「実行力」といった能力考課項目などが設定されています。
 これらはもともと曖昧な定義なので、人事考課も曖昧になりがちなのですが、それをフィードバックするときに、「君は積極性にやや欠ける点があってね」といわれて、「はい、そうですね」とはなかなか納得できません。
 何をもって積極性がないといっているのか? 終業時間になったらすぐに帰ってしまうからか? それとも頼まれた仕事以外はやろうとしないからか? まさか、飲み会に参加しないから?
 疑心暗鬼になりますね。
 実は人事考課というのは、よっぽどいい人やよっぽど悪い人はあまりもめません。
 人事考課を行う側も、行われる側も、です。
 ある程度自分で予測がつくからでしょうね。
 もめるのは真ん中あたりの人です。
 7段階評価、例えばS、A、AB、B、BC、C、Dの場合、S、A、C、Dはもめません。
 SやDはそもそもあまりつきませんし、AやCは先にも触れたようにある程度本人も分かります。
 ついでに言えば周りの人も分かります。
 微妙なのはAB、B、BCのあたりです。
 こうした微妙な考課結果の場合は、「今年は頑張ったのに何でABではなくてBなんですか」だとか、「どうして私が標準以下のBCなんですか」と、気になります。
 納得のいく説明を受けないと、収まらない・・・
 こうした不信感を放っておくと「うちの上司は、元気よく挨拶すれば積極性があると勘違いしているんだよねぇ。勘違いも甚だしいよ」なんていわれたりするわけです。
 どっちが勘違いしているのか・・・・・こうなるともう両方なんですけど。
 さらに同僚に出会ったときに、「うちの人事考課って、おかしいんじゃねぇか?」「そうだ全くだ」と盛り上がったりして、勘違いが勘違いを呼んでいくということになります。
 このゾーンの方は人数も多いので、結局この方々が納得できるかどうかが人事考課制度の「評価」を左右することになるのです。
 そういったことでもあるので、きちんと説明をしておきましょうという趣旨なのです。

 企業の文化を大切にする会社ではこのフィードバック面接を、会社として、組織として、何がよい考え方、行動なのか、何がよくない考え方、行動なのかを再確認する絶好の機会と捉えています。

 そうした重要性は分かるのですが、実際に運用しようと思うと、とても大変です。
 まず、人事考課の結果を伝えられない管理職がでてきます。
 よい結果だったら伝えやすいけれど、悪い結果だとためらってしまうのですね。
 これは相対区分をしている会社では特にそうなります(相対評価については7月21日配信の第17号「通知票がかえってきました」も見てください)。
 相対区分とは人事考課点順に上位から5%がS、次の15%をAというように比率で区切っていく方法を指します。
 普通は複数部門をまたがって(集計して)、この区分を行うので、人事考課をした人(管理職)にとっては自分の感じ、イメージと違った結果になってしまうことがあります。
 B(普通は標準評価)のつもりだったのに、結果的にはCになってしまっていたということが起こります。
 こうした場合、自身のない管理職のフィードバックは「いや、僕はBくらいのつもりだったんだけど、全体としてはBCだったんだよ」という、まことに迫力のない説明になってしまいます。
 フィードバックを受ける社員も納得しづらいです。

 さらにその後のコメントができない。
 具体的にフィードバックをしようにも、覚えていない管理職が多いのです。
 いくら考課者研修なんかで、「後で困るからというだけではなくて、具体的な事実を踏まえて人事考課をしなければいけないのだから何があったか覚えておいてくださいね。といっても半年分は覚えられないでしょうからメモを取るくらいはしておいてくださいね」と言うのですけれど、そんな人はまれですね、残念ながら。
 「そんな面倒なことができるか!」
 「えんま帳みたいになるので嫌だ!」
 「区切りのある仕事ならまだしも、ルーティンでずっと続いている仕事だとつけづらい。どうしても失敗の記録になってしまう」
 などなど理由が山ほどでてきます(これらはほとんどが「やる必要がない」という理由ではなくて、「やりたくない理由」ですよね〜)

 具体的に言おうとすると見解の相違もあるかもしれない、勘違いしていたらそこを突っ込まれてしまいそう、という心理も働きます。
 「フィードバック面接では人事考課結果を伝える」という前提にしていると、ここで事実誤認があったということになると結果を変えなければならないということに発展しかねないので、管理職としては人事考課の結果を説得するための面接になってしまいます。
 説得すると言うことになると「説得できた」か「説得できなかった」かばかりに関心がいってしまい、本来の目的、つまりどこに改善を求めるかを本人にきちんと伝えることができなくなってしまいます。

 ではフィードバック面接をうまくやるこつはないのか?
 あります。
 それは、フィードバック面接とは別にこまめな面接をしておくことです。
 半年に一回まとめてフィードバックをするのではなくて、事前にちょくちょくやっておくのです。
 例えば毎月しておけば、覚えておくこともとりあえず1カ月分(毎週なら1週間分!)ですみます。
 その時点で事実誤認も解消されます。
 人事考課結果に関わりなく仕事の出来栄えについてお互いに話ができ、認識がすりあわされるので、結果がよくない社員の方もうすうす気がつくし、心の準備もできてくるものです。
 悪い結果を聞かされても「やっぱりなぁ」「しょうがないか」ですみます。

 ところで、お気づきの通りこのフィードバック面接は、どうしても管理職主導になります。
 とくに先に言ったような「こまめな面接」をせずにやろうとすると、「説得」調になってしまいます。
 管理職はカウンセリング・マインドを持てといわれ、考課者研修などで「傾聴」のトレーニングをするところもあるようですが、説得調のフィードバック面接では生かされることは少なそうですね。
 逆にこまめな面接をやっていると、カウンセリング・マインドは生かしやすいのですけれど・・・。
 部下をどうやって育てていこうかと考えている管理職であれば、自然とこまめな面接もやるし、カウンセリング・マインドも身に付くのでしょうか・・・。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ★ 考課前面接(レビュー面接)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これはフィードバック面接とは逆に、人事考課を行う前に実施する面接で、人事考課を適切に行うための情報収集を目的とする面接です。
 コンピテンシー評価を採用しているところなどでは、それを推進しているコンサルティング会社の勧めもあって、実施しているところが多いのではないでしょうか。

 先にフィードバック面接をうまく実施するためには、こまめな面接をしておくとよいという話をしましたが、それの「人事考課直前対策版」と考えていただくとよいです。
 「面接」とはいわずに、仕事の流れの一環として自然にやっている管理職の方もいらっしゃると思います(う〜ん、こういう上司がいいなぁ)。
 人事考課の時期だからといってこの面接をやっているのではなくて、あくまでも仕事のレビュー、つまりどのようなつもりで仕事をしてその結果どうなっていて、それを踏まえて今度はどうしようと思っているかということを、上司と部下の間で話をするというのは、当たり前の話ではあるからです(この当たり前をしていない会社がなんと多いことか)。
 コンピテンシー評価を採用しているところは、その行動についてお互いに話し合うということを大切にしていますから、この考課前面接はとても重要な位置を占めます。

 考課前面接の難しさの一つは、先の相対区分の件の様なことがやはり起こりうると言うことです。
 考課前面接の時にはお互いにやるべきことはできて居るなぁという感じで認識が一致していたのに、人事考課の結果は標準を下回っていたというケースが起こりえます(やるべきこと以上にやった人が多かったということでしょう)。
 こうなると、考課前面接のとき、結果的にはうそを言ったことになってしまいそうだという心配があるのです。
 ただ、この点は、そうなってしまった場合だけ個別にフォローすればよいだけなので、冷静に考えればそれほど問題にはなりません(面接をやりたくない人は、これを理由にやらないでおこうとしますね)。

 もう一つの難しさは、人事考課の時期というのは、業績年度とあわせていることが多いからですが、管理職が忙しい時期が多いのです。
 考課前面接をやろうにも、時間を割きづらい状況になりがちです。
 締め切りまでに終わらないと人事考課ができないのでなおさらです。
 この点は管理職の段取り力によるので、それほど大きな問題ではありませんが。

 考課前面接は、フィードバック面接よりは、より部下の話を聞くことをしやすい面接です。
 また場合によっては、カウンセリングに近い内容になるかもしれません。


 このメールマガジンは、キャリアスケープ・コンサルティングが発行しました。
 キャリアスケープ・コンサルティングのホームページは     
 
 面接の前にはその人に求めている役割(自分が求められている役割)とキャリアプランを確認しておくことが大切です。
 キャリア開発という視点から考える人事制度(HRD/HRM)については こちら 

  

Back  <<
攻撃は最大の防御(#21)
面接いろいろ(その1)(#22)
2004/9/1
>>  Next
面接いろいろ(その2)(#23)