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終身雇用(#12)
あぁ面接(#13))
2004/6/23
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燃えるもの(#14)

 今年は台風が当たり年とか。
 あまり雨が降らない梅雨なので、水不足が解消されてよいのかなと思いましたが、台風では水不足はあまり解消されないという話も聞きました。
 地面にしみ込む前に流れてしまうのだとか。
 なるほど。
 あんなに雨が降っているのに、見かけと実際は違うものなんですね。
 人事の世界にも見かけと実際が違うものがいろいろあります。
 名前は一緒でも会社によって、あるいは同じ会社でも上司によって全く運用が異なってしまっているもの・・・その一つが面接制度です。

上司「今日は君のキャリア・プランについて話をしてみよう。
   どう考えているかのを本音で言ってほしい」
部下「分かりました。
   これって、キャリア面接ということですね。
   実はまだあまり考えていないんですよ」
上司「なんだ、そうか、じゃぁしょうが無いな。
   では、私が考えていることを伝えよう。
   まず君の能力を棚卸ししてみよう・(略)・ということなんだ。
   だから君は今後・(略)・とやっていくのがいいと思う」
部下「ありがとうございます。とても参考になりました」
上司「そうか、じゃぁこれからも頑張ってくれたまえ」
部下「はい、頑張ります」

 この面接ってどうでしょう?

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 ★ 面接にもいろいろある
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 最近はほとんどの会社で面接制度が導入されているようですね。
 でもこの「面接」、どこの会社も同じとは限りません。
 目的も様々ですが、内容も様々です。


 もっともよく行われているのは評価面接というものではないでしょうか?
 決まった呼び名があるわけではなく会社によって違うのですが、人事考課制度に関連する面接です。
 さらにこれも3つに分けることができます。

 まず、考課期間の始めに目標や能力開発のテーマなどについて話し合う面接があります。
 これは「期首面接」あるいは「目標設定面接」と呼ばれることが多いようです。

 考課期間の最中に、進捗状況を確認したり、場合によっては期首に立てた目標の変更などを取り上げるのは「期中面接」と言ったりします。
 期中面接をやっているところは少ないです。
 目標による管理を導入している会社でも中間面接をやらないというところが多いです。
 「面接ばっかりになってしまって大変。時間をとられる」
 というのがその理由の多くですが、期中に環境要件が変わったり、会社の方針が変わったりした場合、どうやって目標の再設計をするんでしょうね?
 これではいくら期首にしっかり面接をしても、期末にもめることになりますよねぇ。

 もっとも多くの企業で行われているのは「期末面接」です。
 文字通り期の最後に実施される面接で、この面接もまた、企業によって位置付けが異なります。
 人事考課を決定する前に実施して、上司と部下で達成状況などについて意見交換をし、認識をすりあわせておくことで人事考課の精度を高めようということを目的に実施しているケースもあれば、考課が確定したあとでその考課結果になった理由をきちんとフィードバックをすることで本人の納得感を高め、翌期の課題をはっきりさせていくことを目的と
しているケースもあります。
 先に触れたように期末面接を行っているところは多く、評価面接というとこの期末面接を指していることも多いです。

 これらの面接は多い会社は年に4回実施されます。
 期首面接・中間面接(1回目)・中間面接(2回目)・期末面接−という感じです(考課期間が一年の場合)。
 普通は考課期間を半年に設定することが多いので、半年をサイクルに目標設定面接と評価面接を行っているところもあります。
 これも年4回のように見えますが、期末面接と翌期の期首面接は同時にやることが多いので実質的には年2回ですね。

 人事考課制度に並行する形のこの評価面接群は、目標による管理を考課制度として導入したときにあわせて導入した企業が多いのではないでしょうか?
 それまではどちらかというと一方的に人事考課をしてすましていたのが、急に面接をしなければならなくなって(そのようにコンサルタントにいわれて、あるいは先進事例でそうなっていたから)、慌てて面接研修も始めたところも多いと思います。
 このとき「傾聴」ということも取り上げているはずなんですが、何せ取り上げるきっかけが「いかに人事考課を上手に進めて、社員が文句を言わないで働くようにするか」と言うことであったりすることも多かったので、「聴く」ということよりも、「いかに話させてガス抜きをして、いかにこちらのいうことを納得させるか」という研修になりがちだったのではないかと思います。
 「傾聴」というよりは「説得と納得」の研修といってもいいでしょう。


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 ★ キャリアについての面接
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 さて、冒頭の事例で出てきたキャリア面接というのは、上司(あるいは上司の上司であることもあります)が、部下の今後のキャリア開発をテーマに行います。
 先の一連の評価面接のような当面の目標設定や評価ということではなく、中長期的にどうなりたいと考えているかを確認し合う場といえます。
 この面接は先の評価面接とは別に行われることがほとんどです。
 一緒に行っても構わないのですが、評価面接はそれぞれに実施時期が決まっているものなので(中間面接はそれほどでもないのですが)、一定の期間に全員の面接をしようとするとどうしても時間が気になってしまいます。
 キャリア面接は中長期の話ですし、何をやりたいかだけでなく、どうありたいのか−つまり仕事人生の展開をどのように考えているのか−ということについて話が及ぶので、じっくりと話せるような環境を整えることが必要になります。
 従ってキャリア面接だけは別に時間をとって実施する方がよいようです。

 このキャリア面接の導入企業はまだまだ少ないのではないでしょうか?
 一連の評価面接の中でやっているから別に改めてやる必要はないのだ−というところもあるのですが、面接の結果をどのように活用するかによって意見の分かれるところだと思います。
 全社的な人材開発に結びつけようとするなら直接の上司だけでなく、上司の上司あるいは関連部門の上司などが面接をして、それを人材開発委員会などに持ち寄って共有化し、全社的な人材育成計画(あるいはサクセッション・プラン)に反映させるということまでした方がよいですね。
 いや、直接の上司が部下育成進めていくためにやっているのだということであれば、期首面接や期中面接とあわせてやった方が、実際に担当させる仕事や課題にも反映させることができるのでよいと思います。
 ただ、この場合、上司の能力に左右されてしまう可能性があります。
 また実際の職務に結びつきやすい分、どうしても短期的な視野に陥りがちで、長い目で見てどのように育てるのか、育っていくつもりなのかという視点が欠落してしまうことが懸念されます。

 このキャリア面接が制度化されていない会社ではどうするのでしょうか?
 一般的には漠然と将来に対する不安を抱えたまま仕事を進めていくことになってしまいます。
 上司に恵まれれば個別に相談に乗ってもらえるかもしれません。
 また社員の方が実際に行動に移すことができる人であれば、これはと思う上司に話をしてみたりするかもしれません。
 こうした漠然とした不満や不安からキャリア・カウンセラーを訪ねたことがあるという人も多いようですね。
 でも実際には一人で抱えていたり、飲み屋で酒の上での話にしたり、あるいはまた気づかないで何となく日々を過ごしているという人も多そうです。


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 ★ 枠組みも大切、中身も大切
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 どんな面接があるのかということについて取り上げてみました。
 が、仕組みとして存在することも大切(ないよりは数段良い)ですが、その中身も重要です。
 冒頭の面接を振り返ってみましょう。

上司「今日は君のキャリア・プランについて話をしてみよう。
   どう考えているかのを本音で言ってほしい」
部下「分かりました。
   これって、キャリア面接ということですね。
   実はまだあまり考えていないんですよ」
上司「なんだ、そうか、じゃぁしょうが無いな。
   では、私が考えていることを伝えよう。
   まず君の能力を棚卸ししてみよう・(略)・ということなんだ。
   だから君は今後・(略)・とやっていくのがいいと思う」
部下「ありがとうございます。とても参考になりました」
上司「そうか、じゃぁこれからも頑張ってくれたまえ」
部下「はい、頑張ります」

 なんとなく、うまく話が展開していて、上司は自分のいいたいことをきちんと伝えているし、部下もそうだと思って納得しているのだから良いではないか−と思いますか?

 そう、そうともとれますが、多くの場合、部下の内心は以下のようなものだと思います。<>の中が本音。

上司「今日は君のキャリア・プランについて話をしてみよう。
   どう考えているかのを本音で言ってほしい」
部下「分かりました。
   これって、キャリア面接ということですね。
   実はまだあまり考えていないんですよ」
   <いきなり本音を言えっていったって、言えるわけないだろう。
    早く別の部門に移りたいんだよ。でもいったらあんた、きっと爆発するからねぇ。
    そんなリスクのあることできないよ>

上司「なんだ、そうか、じゃぁしょうが無いな。
   では、私が考えていることを伝えよう。
   まず君の能力を棚卸ししてみよう・(略)・ということなんだ。
   だから君は今後・(略)・とやっていくのがいいと思う」

部下「ありがとうございます。とても参考になりました」
   <それはあなたの意見でしょ。だいたいあなたの評価自体があてにならないんだ。
    それに今の評価の延長線上で自分のやりたいことを決めないといけないわけじゃないんでしょ。
    これじゃぁ、偏差値から大学選んでいるのと同じじゃない。
    どうなりたいのかというところから聞いて欲しいよ、まったく。
    そうそう、今後のことだって別にこの部門の管理職になりたいわけじゃないんだよね。
    別の部署も経験してみたいし、もっと専門性を高めていくような方向が好きなんだけどな。
    管理職は遠慮したいんだ。あんた見ているとつくづく思うよ>

上司「そうか、じゃぁこれからも頑張ってくれたまえ」
部下「はい、頑張ります」
   <はいはい。いいなぁ、上司の方がすっきりした顔して。
    話を聞いてあげたのはこっちの方だったのかもしれないな。あぁやってらんねぇ>

 いかがでしょう。
 全てがこうだというつもりはありません。
 でも、そうなっているケースも多いわけで、いくら面接が行われるようになっていても、それを進めていく管理職の面接をするスキルが乏しいと逆効果にさえなるんです。
 多くの会社では面接が上手だから管理職になっているわけではないという当たり前のことを考慮すれば、管理職になる前あたりから、相応のトレーニングは必要ですね。


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 ★ おまけ
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 と、管理職批判で終わることが多いのですが、あえて一言。
 この部下にも問題はないでしょうか?
 いわないでおく−というのも方法の一つでしょうけども、それでいいのでしょうか?
 自分から何らかのアクションをとることはできないでしょうか?
 上司に不満を持ったまま、つまり会社と上司のせいにしたままでほっておくということを選択したのは自分です。
 このままにしておこうというのは自分で決めたことです。
 部下の方にも、自分の仕事人生を主体的に生きていうということはどういうことなのかを理解してもらう必要があると思います。
 自分の仕事人生なんですから。

 


 このメールマガジンは、キャリアスケープ・コンサルティングが発行しました。
 キャリアスケープ・コンサルティングのホームページは     
 

 面接に臨む前に双方で考えておくことは多いわけですがその手がかりになるのが役割です。
 キャリア開発という視点から考える人事制度(HRD/HRM)については こちら 

 

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