![]() |
![]() |
役割とは、組織が経営目標を達成するに当たって必要とする機能を社員一人が担当できる程度に、いくつかまとめたものです。 |
![]() |
組織にとって「役割」という概念を用いることのメリットは大きく4つあります。 |
![]() |
第一は、経営戦略達成のために必要な機能を、全社員に徹底させるための有力なツールとなることです。 役割は組織戦略や職務分掌と無縁ではありません。 経営目標を達成するためには戦略的に付加したり、強化したりする機能がありますから、事業計画によって役割が増えたり減ったりすることは当然あります。 その一方で、企業経営を支えていくために定常的に遂行されている機能もあります。 前者は経営計画や部門別計画の中でブレークダウンされて示されます。 後者は通常は職務分掌規程の中で示されています。 いずれも「組織」を単位に区分しているものなので、これらを「役割」を中心に再編成することで、必要な機能を漏れなく配することが出来るようになります。 しかし、これがうまく機能しないことが少なくありません。 ブレークダウンしたはずのものがいつの間にか曖昧になって通常業務の中に埋もれていたり、逆に通常業務としてやっていたはずのものがいつの間にかなくなっていたりするのです。 戦略を達成するために組織を編成するもののそれぞれの組織が思ったような働きをしないというのは、組織の枠組み(いわゆる部門名)は変わっていても、組織に割り当てた機能や、その機能を担う役割が明確にされていないために、旧来組織の担当者が引き続きその機能を担っていたり、引き継ぎもなく放置されていたりして結局は元のままだった−ということが原因の一つに挙げられます。 役割を明示することで、戦略に応じて役割をブラッシュアップし、それを担うに相応しい人物を任命しておくことで、こうした漏れや齟齬を防ぐことが出来ます。 |
![]() |
もう一つのメリットは、適材適所の実現です。 |
![]() |
3つ目のメリットとして、短期的な教育だけでなく、中長期的な育成を実施しやすいという点が挙げられます。 求められる機能が明快であるということはどんなことをしなければならないのかが明らかであるということですから、短期的な教育のテーマは明確になります。 さらに、個々の社員を中長期的に育成するという観点で見たとき、現在の役割を基点に今後どの様な役割を経験し、最終的に目指す役割は何かを考えさせることが出来ます。気概と野心を持つものであれば「経営者」という役割を目指すでしょうし、自分のスペシャリティーにこだわりを持つ者は「専門職」を目指すかもしれません。 育成上重要なのはこうした中長期での目標を持たせることにあります。向上心を持つ者ほど、中長期のキャリア・パスが見えていることが必要です。 中長期的なゴールが見えているからこそ、自分の希望と現状との短期的な齟齬にも納得して対処できるからです。でなければやる気を失ってしまいますし、社外にキャリア・パスが見えればそちらに移転することも考えられます。 社内の役割が示されれていればそれを手がかりに自分なりのプランを設計することができます。それだけでなくそのプランの中で自分はどこまできているのかも分かります。 ここの役割の内容が明示されているので、自分なりに前もって教育を受けたり、自己啓発に取り組んだりすることもできます。 本人が主体的に取り組むのですから、同じように研修を実施しても、指名されて渋々参加するのとは大きな違いが生まれます。 |
![]() |
メリットの4つ目は人事考課項目の高度化です。 役割が明示されるということは、何をしなければならないかが明らかになるということですから、求めるべき成果も自ずと明確になり、ひいては考課項目の内容も実務に沿ったものに重点化することが可能になります。 また先に挙げた育成面から発想するとき、当面の目標だけではなく中長期の課題を本人に与え、その達成度合いをも人事考課の対象とすることで成長への動機づけを図ることが可能になります。 |
次は「個人にとってのメリット」 |
![]() |