人事システムへの展開
報酬は範囲職務給

 各人の処遇は役割とその成果によって決定します。

 この場合基本的な水準を役割の価値で決定し、成果に応じてその水準に対して付加するというのが基本的な発想です。
 つまり、役割ごとに報酬水準を決定し、これに成果の達成度に応じて味付けをするという形式です。
 上限と下限がある範囲制の職務給(役割給)です。
 役割ごとといいながらも、運用のしやすさを考慮して、通常はいくつかの役割をまとめて、役割の格付け(社員の格付けではない)を設定します。

 さて、役割ごとに上下限を設定するということについてですが、これは、役割の価値こそが組織に貢献する内容そのものだと考えるからです。
 役割が同じであれば基本的に同じ程度の報酬水準になるのは、同一価値労働同一賃金の原則に照らしても当然のことといえます。
 特に固定的に支給されることが一般的な月例給与は役割とリンクさせておくことが不可欠です。

 同じ役割でいると報酬が変わらなくなるので、成長感を感じにくくなるし、モラールダウンになるのではないかと懸念する方もいらっしゃいます。
 同じような仕事をしていてもその習熟度合いが異なるのであれば徐々に引き上げていくことに妥当性はあるといえます。
 であれば、習熟の程度が同じであれば同じ水準で維持され、仮に逆に加齢により体の無理が利かなくなるなど生産性が落ちるとすれば、その時には引き下げるというのが妥当ではないでしょうか?

 ではどこでモラールを維持するのでしょうか?

 一つは賞与制度です。組織は人件費生産性(人件費1万円当たりの経常利益)が一定となる範囲であれば、社員の年間報酬額を引き上げることは可能です。
 これを社員の側から見れば、会社全体の業績が向上することが自分の報酬水準を引き上げることに繋がることになります。
 組織と個人のベクトルがここでも一致します。
 さらに期間中の役割・成果の達成状況に応じた配分をすることも、これに寄与します。
 給与は上がらないかもしれないけれど、賞与の方ではやりようがあるわけです。

 もう一つの方法は管理職層のマネジメント技量です。
 頑張れば報酬を引き上げるといった「馬ニンジン」方式だけではなく、仕事をすることそのものの価値や、仕事を通じた自己のキャリア開発といった面にも目を向けさせ、より高い価値を持つ役割にトライするように指導、育成することがモラール・アップに繋がります。
 その意味では、管理職にはこれまで以上に部下指導のスキルが必要とされることになります。
 報酬を引き上げることでしか社員のやる気に働きかけられないとしたら、その管理職自身を変える方がよいかもしれません。


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